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秋華賞エンブロイダリーのレース回顧【前半】
ーエンブロイダリーの秋華賞、エネルジコの菊花賞制覇おめでとうございます。このインタビューは菊花賞の勝利翌日の10月27日(月曜日)に行っています。お休みの日でも、今日は11月のオープン間近の『CL by C.ルメール』ブティックの方でかなり忙しかったようですね。

(クリストフ)そう、今朝はね。でも午後は娘と一緒に過ごしたよ。彼女の学校がお休み中だから、一緒にショッピングしたんだ。妻のバーバラと娘と3人でね。というのも、普段はあまり会えないから。娘は寮に入っていて、平日はずっとそこにいる。週末だけ家に帰ってくるけど、僕は週末はいつも仕事だからね。


ーそうですよね。土日いつもレースですよね。だから娘さんが帰ってくるときはクリストフさんが競馬場にいて、クリストフさんが帰る頃には彼女がもう寮に戻ってる、と。

(クリストフ)そう、家に帰ると、もう学校に戻ってるんだ。でもとてもいい学校だよだし、友達もたくさんできて、とても楽しそうにしているから何よりだね。


ーそれはよかったです。では、競馬の話に入りましょう。ここ2週間は本当に素晴らしい成績でしたね。とても満足しているのでは?

(クリストフ)シンジラレナイだね。エンブロイダリーもエネルジコも。両馬は本当にいい状態だった。


ーなるほど、2頭とも勝つチャンスがありましたね。

(クリストフ)うん。だから勝ててホッとした。もちろん嬉しいけど、それ以上に安堵の気持ちが大きいね。2頭ともG1を勝つことができたから。


ーエンブロイダリーの話しからましょうか?以前も話していましたが、オークスの2400メートルは少し長いと感じていましたよね。そして夏を越えて、馬に落ち着きも出てきました。今回は2000メートルに距離も短縮されました。

(クリストフ)エンブロイダリーは桜花賞の時期はまだ精神的に少し幼くて、マイルの時は少しテンションが高かった。それで2400mのオークスでは「しっかり折り合って走るように」と意識して乗ったんだけど、彼女自身がどう走っていいのか理解しきれていなかった。最後の直線でも伸び切れなかったね。三冠を獲るのが難しいのはその点なんだ。1600mから2400mまで一気に距離が伸びて、また2000mに戻る。この距離の変化が大きい。だけど2400mから2000mの流れのほうが馬にとっては楽だね。

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ー秋華賞ではペースがわりと落ち着いて見えました。特に1コーナーから2コーナーまでの入りが。エリカエクスプレスの武豊騎手が先頭で、そこから各馬がポジションを取って、前半1000mの通過が59.4秒。時計を見ると遅くはない流れでしたが。

(クリストフ)うん。時計は普通の流れだったけど、乗っていて「あまり速くないな」と感じていた。前半リラックスして走っていたから、ポジションを上げる時も興奮したり、力んだりせずにリズムを保って動けた。2番手に上がって豊さんの隣につけたときも、落ち着いて呼吸も整っていた。だから「これは勝てるかもしれない」とその時思ったよ。


ーなるほど。レース映像を見ていると、実況の三浦アナウンサーが「ここでエンブロイダリーがエリカエクスプレスに並ぼうとしている!!」と場内が沸きました。実際には無理をせずに自然にポジションを上げていったのですね。その時点で、勝負をかける理想的な位置取りでしたね。

(クリストフ)そう。そしてラッキーなことに、前の武豊騎手が完璧にペースを作ってくれた。


ーですよね。豊さんの“体内時計”が凄いです。

(クリストフ)豊さんの乗り方はエリカエクスプレスのような馬にはピッタリだった。デビューの時は僕が乗ったけど、彼女は少しテンションが高くて、とてもパワフルな馬なんだ。だけど豊さんとならリズムよく走れて、とても快適そうに見えた。


ー直線に入って、エリカエクスプレスが一気に抜け出しましたね。正直、あの時点では“捕まえられないかな”と思いました?

(クリストフ)うん、一瞬そう思った(笑)。「届くかな?」ってね。でもエンブロイダリーは直線半でもう一段ギアを上げてくれた。そしてエリカエクスプレスは、やっぱり距離が少し長かったかもしれない。今まで勝っているのも1600mでしたしね。だから最後の最後でエンブロイダリーが差し切ることができた。


ーエリカエクスプレスはこれまでマイルの距離でしか勝っていませんね。デビューのクリストフさんが乗った新馬戦も、フェアリーステークスも1600m。

(クリストフ)そうだね。エリカエクスプレスのオークスは明らかに長かった。でも今回(秋華賞)で2着に来られたのは、完全に豊さんの戦術のおかげだと思う。しっかり折り合わせて、最後まで集中させた。


ーもし、直線でエンブロイダリーがもっと後ろの位置にいたら届かなかったですか?

(クリストフ)そう。もし4〜5馬身後方にいたら、間に合わなかったと思う。だから向正面で早めに動いたのは正解だった。あれが正しいタイミングだったと思う。


ー完璧な判断でしたね。

(クリストフ)僕はああいう形のレースはもともと予定していなかったんだ。レース中に「今が動くタイミングだ」と思ったら、すぐ決断する。それがジョッキーの仕事。考えすぎては遅い。感じたらすぐ動く。今回もそれがうまくハマったね。「Just Go For It」(笑)


ーまるでレイデオロで日本ダービーを勝ったときのようでした。あの時も向こう正面でポジションを上げた判断が絶妙で、今回のエンブロイダリーの動きもそれを思い出しました。

(クリストフ)そう、あの時も自然な流れでポジションを上げて、無理なく勝てた。今回も似たような感覚だったね。
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菊花賞・エネルジコ〜マスカレードボール〜ブティック【後編】
ー菊花賞のエネルジコの話に移りましょう。2週連続のG1勝利となりましたね。当日は雨が降っていましたね。馬場状態は気になりましたか?

(クリストフ)いや、むしろ自信があったよ。青葉賞を勝った時とほぼ同じコンディションだった。彼は低い姿勢で走るので馬場が悪くてもスムーズだった。しかも3000メートルの距離もこなせると思っていた。しっかりスタミナがあるタイプだからね。


ー共同記者会見では京都の坂の下りが少し心配と話していましたが。

(クリストフ)そう、先ほど言ったように、この馬は“低い走り“をするから。でもそこも問題はなかった。3〜4コーナーではスムーズにバランスを取れていた。


ー確かに、そして、4コーナーを過ぎてからも余裕がありましたね。体調面はいかがでしたか。

(クリストフ)そう。そして今回の馬体重が−12kgだったけど、それは青葉賞を勝った時とほぼ同じ体重。つまり、あの時の理想的なコンディションに仕上がっていたということ。


ーなるほど。全てハマったわけですね。

(クリストフ)そう。馬の状態、馬場と条件が揃っていた。あとは完璧な騎乗をするだけだった(笑)。


ールメールさんは1〜2コーナーで、先頭からかなり離れたポジションでした。バックストレッチで豊さんが動いた時、それをマークして動きましたね。

(クリストフ)うん、その通り。彼が動いた瞬間に僕もスムーズに外に出してついていけた。彼の後ろにつけて追走したことで、エネルギーを無駄にせず前に出られた。ペースも読みやすくなる。京都は下り坂を下ってからまだ400メートルあるから、早めに外へ出すと800メートル近く脚を使ってしまう。だから我慢して“誘導してもらう”のが正解だった。


ー完全に“ストーキング”でしたね(笑)

(クリストフ)そう、まさにその通り(笑)。去年のレースとほとんど同じ展開だった。去年も豊さんの乗るアドマイヤテラのすぐ後ろにつけてアーバンシックで勝てたからね。


ー武豊騎手さんに感謝ですね。彼のペース読みに狂いはない。秋華賞ではエリカエクスプレスの横に付けれましたし。

(クリストフ)そう。チャンスが来た時に、それを逃さずに掴むことが大事なんだ。


ーでは、この馬はどんな条件のG1が合っていると思いますか?もちろん 高柳瑞樹調教師やシルクレーシングとの相談があると思いますが。

(クリストフ)僕の考えでは、2400メートルがベストディスタンスだと思う。あの馬は瞬発力タイプではなく、ジワジワと長く脚を使うタイプだから。有馬記念なんかもいいかもしれない。もしかしたら、凱旋門賞も面白いと思うよ。彼は500kg以上の大型馬じゃないし、柔らかい馬場で力を発揮できるタイプ。


ーそれは楽しみですね!!今回のG1連勝はどちらもシルクレーシングの所属馬でしたね。先週のシルクレーシングのパーティーでは、皆さん本当に喜んでいました。あの雰囲気は素晴らしかったです。

(クリストフ)本当にそうだね。あのクラブにはスペシャルな思い入れがある。アーモンドアイやイクイノックスのような名馬たちをこの勝負服(ライトブルーと赤)で乗せてもらったからね。あのカラーでまたG1を勝てたのは本当に嬉しい。
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ーこの2週間は京都での勝利も特別だったと思います。地元でG1を2つ勝てたのは感慨深いのでは?

(クリストフ)もちろん。京都は僕が住んでいる街だからね。ホームタウンでのG1勝ちはやっぱり格別。とても嬉しいよ。


ーさて、今週末はクリストフさんにとっては得意な舞台、東京になります。話題はマスカレードボールです。この馬は社台レースホースの所有馬で、吉田照哉代表はクリストフさんにとっても大切な方ですね。

(クリストフ)そうだね。久しぶりに社台の馬でいい馬に乗せてもらったけど、この馬は間違いなく素質が高い。日本ダービーではクロワデュノールのすぐ後ろ、2着だった。あれは素晴らしいパフォーマンスだったね。レースを重ねるごとにどんどんよくなっている。


ー追い切りに乗りましたが、状態はいかがですか?

(クリストフ)とてもいい。精神的にもかなり成長した。以前は少し気難しい面を見せてコース入りを嫌がったりテンションが上がることがあったらしいけど、先日乗ったときはすごく落ち着いていて、とてもプロフェッショナルだった。当日も同じような精神状態なら、かなりいいレースができると思う。前走の2400メートルでも十分対応していたけど、2000メートルでも十分やれる。直線で加速するのに時間がかかるタイプだから、東京の長い直線は理想的だと思う。


ー映像で見ると、直線で少し左にモタれているように見えましたが、調教ではいかがでしたか?

(クリストフ)確かに調教の最初は少し内にササるるような動きがあったけど、最後の方ではしっかりまっすぐ走れていた。大きな問題ではないよ。まだ若い馬だし、経験を積めば自然と修正されると思う。休養を挟んで秋に向けて成熟してきてるだろうしね。
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ーでは、最後にブティックの話題に移りましょう。まだオープン前ですが、先日は池添謙一騎手が謙聞録の取材で訪れていましたね。私も先週行かせていただきましたが、とても素敵な空間でした。お店の中で一番お気に入りの場所はどこですか?

(クリストフ)そうだね。うーん。お気に入りの場所は全部ですよ(笑)。1つには絞りきれない。このカフェとブティックの最大の魅力は、“競馬の違った表現”を感じられることだと思う。カフェではまるでレース場にいるような臨場感があって、2階はまるで“バックヤード”、裏側の世界に入ったような雰囲気なんだ。


ー確かに、1階はトロフィーやカフェカウンターがあって、マスターがコーヒーやスイーツを用意してくれていましたね。そして上の階はジョッキーの控室のような空間で、洋服や小物が並び、窓際にはプライベートな打ち合わせができるテーブルもありました。本当に独特な構成だと感じました。

(クリストフ)そう、それが狙いなんだ。どちらのフロアも違う空気感を楽しめるようにした。


ー正式オープンは11月6日予定ですよね?テープカットには武豊騎手も参加されるとか?

(クリストフ)そう。テープカットはオープンの日ではないけど、メディア取材やプレスリリースも予定している。日本だけでなく海外にも、“新しいコンセプトのブティックが誕生した”という形で発信するよ。


ー確かに、単なる競馬のグッズショップではなく“ブティック”としての空間ですね。こんな形は日本でも海外でも見たことがありません。大きな挑戦ですね。

(クリストフ)うん。まさに挑戦だよ。ファンのみんなが楽しんで、競馬を着こなしてくれたらいいね。これからの展開が楽しみです。そして、競馬と共に『CL by C.ルメール』ブティックが進化していきたいね。

Iris Henry
Article written by

藤井勘一郎

こんにちは、藤井勘一郎です。このたび『CL by C.ルメール』のホームページでクリストフ・ルメール騎手のブログを担当させていただく事となりました。毎週金曜日、私からの視線でルメール騎手の魅力や競馬の話、そして『CL by C.ルメール』に対しての情熱を書いていくつもりです。文章を書くことは私にとって新しいチャレンジですが、引き受けたからには皆さんにも楽しく読んでもらえるように頑張ります。よろしくお願いします!